EP.5「牡羊座ってどんな人?」

アヤさん「さーて、お待ちかねの各星座ごとの解説といきますかー」


ざきさん「そ〜しまぁすか〜」


二人の声はいつになく間延びしていた。

アヤさん「いやそりゃなぁ、これから十二星座片っ端から話していくわけだからねぇ」


そう言うとアヤさんはコキコキと肩を鳴らした。

ざきさん「例によってどこに話が飛ぶか分からねぇからそこだけ気ぃつけて、な!」


ざきさんは上へ大きく伸びをしながら呻くように言った。


どうやら、相当なエネルギーを使うらしい。


アヤさん「ほい、じゃあ始めよう。まずは牡羊座じゃ」


ざきさん「生まれとしては3月の下旬から4月の中旬ぐらいだな。毎年、数日ぐらいズレるから注意しろよぅ!」


アヤさん「突然だが各星座は人間の人生を分担しておる」


人生、分担?


ざきさん「ホントに突然だな!まぁ、結論から言うと牡羊座は生まれ落ちた赤ちゃんのイメージだ」


アヤさん「12星座には順番があってな、最初の赤ん坊が牡羊座、次に少し成長したあたりが牡牛座、などといった風に各ライフステージを星座で例えることが出来る」


ざきさん「信憑性や誰がいつから例え始めたのかは諸説あるみてぇだが、かなり分かりやすいイメージだからこれを中心にして話していくぜ」


アヤさん「さて、赤ん坊に例えられる牡羊座だ。連想されるキーワードは・・・何か思いつくか?」


・・・純真無垢?

ざきさん「いいよいいよぉ!難しい言葉知ってんなぁ!」


ざきさんはよく分からないタイミングでホメてくる。

アヤさん「まぁ、そういうことだな。何も知らない。何も始めてない。だからこそ彼らは『挑戦』という言葉やその機会にとても心惹かれる」


ざきさん「何も知らないなら、知れば良い。じゃあどうしたら知ることが出来るのか?それは行動あるのみって思考回路だ」


アヤさん「つまり、単純。単細胞。考えなしの脳筋的思考だな」


ざきさん「根性論ってやつだな!!ひゃあ!こりゃ真似できねぇわ!!」


この人たち、牡羊座の人から刺されないだろうか?

アヤさん「何をバカな。それこそが牡羊座の強みなのだぞ」


単純であることが?

アヤさん「では問題だ。無限大の可能性を持つにはどうすれば良いか?」


無限大の、可能性・・・
それこそが赤ん坊ではないだろうか?

ざきさん「そそそ、大体そうよ!」


ざきさん、謎のサムズアップ

アヤさん「人は何かを知り、何か経験を積むたびに可能性が限られていく」


ざきさん「目の前に何かしらの問題があったとして、どうやって解決するか考えるとき、人は必ず今までの過去の経験を思い返すよな?」


アヤさん「もしその時に失敗経験ばかり出てきたら、きっとその人はまた思うであろう。あぁ、失敗するな、と」


ざきさん「んでそういう時こそ、その通りに失敗するもんだ。これはもはや、法則だ」


アヤさん「また、何かをするために使った時間などは戻ってこない。だから人は何かをやる前に上手くいきそうか、失敗しそうかということをとても気にする」


ざきさん「そもそも世の中で働いているお父さんたちを見てみろよ!大体、俺の人生はこんなもんかな?って考えしてるから!あーいやいやいやいや!ディスってはないヨ!世の中のお父さんたち、いつもお疲れ様です!お体お気をつけてぇ!!」


生きていくことは・・・可能性を絞り込んでいくこと・・・?

アヤさん「おや、随分と詩人だの。俺たちの毒にアテられたのか?」


アヤさんは意地の悪そうな顔で、ざきさんはケタケタと笑い始めた。


が、すぐに二人の表情は一転した。


アヤさん「だが、牡羊座はそんな暗ったい考えを持っていない」


ざきさん「何も知らない。何もやったことがない。だから小賢しく成功確率を考えたりだとか、上手くいく方法だとかは考えない。そもそも失敗するかも?という計算すらしない」


アヤさん「とにかく始めることが第一。失敗したら失敗したで全然構わない。また次のチャレンジへ向かっていく」


ざきさん「上手くいったら上手くいったらで、めちゃくちゃに喜ぶ。しかも周りを巻き込んで喜ぶ。牡羊座の喜びっぷりは凄いからな!巻き込まれるこっちが嬉しくなってくるわ」


なんて明るい存在なのだろう。


失敗することに・・・不安や恐怖はないのだろうか?

アヤさん「ないな」


とても切れ味鋭い言葉だった。

アヤさん「何も知らない、などとヒドいことを言っているが、正確には血肉にしているという表現になるな」


ざきさん「成功も失敗も、見たこと聞いたこと感じたこと、それら全てを自分の体に取り込むんよ。いつまでも頭に置いておくようなことはしない」


アヤさん「だから、牡羊座は体が勝手に動く、というような感じであろう」


ざきさん「未知のモノに対して不安に思うことがあっても、飛び込むことに抵抗はないはず」


・・・どうして、どうしてそんなに強くいられるのだろう。

アヤさん「それもまた、赤ん坊だからであろうよ」


赤ん坊だから、強くいられる?

アヤさん「そう、赤ん坊は泣くことしかできん。だが、その赤ん坊は自分の全身を使って、どこまでも鳴り響かせるように泣くのだ。それこそ楽器のようにな。今、自分がそこにいることを全力で知らせるのだ」


ざきさん「牡羊座のテーマは『自分の力を認めてもらう』こと。認めてもらえるならどこでもいい、それはつまり、どこにいたって認められる可能性があるということよ」


無限大の・・・可能性。

アヤさん「牡羊座の、生きていることへの肯定力というのは、俺たちも驚かせられるよ」


ざきさん「牡羊座がいるだけで、場が明るくなるからなぁホント」


牡羊座。

赤ん坊を象徴する星座。

単純かも知れない、だけど、だからこそ、どんなところでも全力で駆けぬけて行ける。

アヤさん「さ、牡羊座はここまでかねぇ」


ざきさん「なんだか不思議な事ばっかり喋ったなぁ」


アヤさん「この星座にはあーしろこーしろは、星詠み亭でやっておるからな。同じことをやっても面白くはない」


ざきさん「ちげぇねぇわな!」


そういうと二人はまたケタケタと笑い出した。

他は、他の星座はどんな人たちなのだろうか。

そして・・・

アヤさん「そうさな。アンタも12星座の内のどれかだろうよ」


ざきさん「牡羊座かもしれねぇし、別の星座かもしれねぇ!とりま、まずは全部聞いてみることさ!」


アヤさん「んじゃ、次は牡牛座だな。今回はどちらかというと俺が喋ったから、次はお前さんに喋らすわ」


ざきさん「牡牛座かー。何話そっかなぁ」


次は一体どんな星座なのか。

どんな魅力的な星座なのか、胸が高鳴って―――

アヤさん「あ、ちなみに牡羊座は物事を始めるのは得意だが、継続は困難だ」


ざきさん「そそ。向いてないよ!!」


アヤさん「詳しく聞きたかったら星詠み亭・エピカに来るんだの!」


・・・なんでこう、いつも煙にまくのか・・・

次回「牡牛座ってどんな人?」


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