アヤさん「さーて、お待ちかねの各星座ごとの解説といきますかー」
ざきさん「そ〜しまぁすか〜」
二人の声はいつになく間延びしていた。
アヤさん「いやそりゃなぁ、これから十二星座片っ端から話していくわけだからねぇ」
そう言うとアヤさんはコキコキと肩を鳴らした。
ざきさん「例によってどこに話が飛ぶか分からねぇからそこだけ気ぃつけて、な!」
ざきさんは上へ大きく伸びをしながら呻くように言った。
どうやら、相当なエネルギーを使うらしい。
アヤさん「ほい、じゃあ始めよう。まずは牡羊座じゃ」
ざきさん「生まれとしては3月の下旬から4月の中旬ぐらいだな。毎年、数日ぐらいズレるから注意しろよぅ!」
アヤさん「突然だが各星座は人間の人生を分担しておる」
人生、分担?
ざきさん「ホントに突然だな!まぁ、結論から言うと牡羊座は生まれ落ちた赤ちゃんのイメージだ」
アヤさん「12星座には順番があってな、最初の赤ん坊が牡羊座、次に少し成長したあたりが牡牛座、などといった風に各ライフステージを星座で例えることが出来る」
ざきさん「信憑性や誰がいつから例え始めたのかは諸説あるみてぇだが、かなり分かりやすいイメージだからこれを中心にして話していくぜ」
アヤさん「さて、赤ん坊に例えられる牡羊座だ。連想されるキーワードは・・・何か思いつくか?」
・・・純真無垢?
ざきさん「いいよいいよぉ!難しい言葉知ってんなぁ!」
ざきさんはよく分からないタイミングでホメてくる。
アヤさん「まぁ、そういうことだな。何も知らない。何も始めてない。だからこそ彼らは『挑戦』という言葉やその機会にとても心惹かれる」
ざきさん「何も知らないなら、知れば良い。じゃあどうしたら知ることが出来るのか?それは行動あるのみって思考回路だ」
アヤさん「つまり、単純。単細胞。考えなしの脳筋的思考だな」
ざきさん「根性論ってやつだな!!ひゃあ!こりゃ真似できねぇわ!!」
この人たち、牡羊座の人から刺されないだろうか?
アヤさん「何をバカな。それこそが牡羊座の強みなのだぞ」
単純であることが?
アヤさん「では問題だ。無限大の可能性を持つにはどうすれば良いか?」
無限大の、可能性・・・
それこそが赤ん坊ではないだろうか?
ざきさん「そそそ、大体そうよ!」
ざきさん、謎のサムズアップ
アヤさん「人は何かを知り、何か経験を積むたびに可能性が限られていく」
ざきさん「目の前に何かしらの問題があったとして、どうやって解決するか考えるとき、人は必ず今までの過去の経験を思い返すよな?」
アヤさん「もしその時に失敗経験ばかり出てきたら、きっとその人はまた思うであろう。あぁ、失敗するな、と」
ざきさん「んでそういう時こそ、その通りに失敗するもんだ。これはもはや、法則だ」
アヤさん「また、何かをするために使った時間などは戻ってこない。だから人は何かをやる前に上手くいきそうか、失敗しそうかということをとても気にする」
ざきさん「そもそも世の中で働いているお父さんたちを見てみろよ!大体、俺の人生はこんなもんかな?って考えしてるから!あーいやいやいやいや!ディスってはないヨ!世の中のお父さんたち、いつもお疲れ様です!お体お気をつけてぇ!!」
生きていくことは・・・可能性を絞り込んでいくこと・・・?
アヤさん「おや、随分と詩人だの。俺たちの毒にアテられたのか?」
アヤさんは意地の悪そうな顔で、ざきさんはケタケタと笑い始めた。
が、すぐに二人の表情は一転した。
アヤさん「だが、牡羊座はそんな暗ったい考えを持っていない」
ざきさん「何も知らない。何もやったことがない。だから小賢しく成功確率を考えたりだとか、上手くいく方法だとかは考えない。そもそも失敗するかも?という計算すらしない」
アヤさん「とにかく始めることが第一。失敗したら失敗したで全然構わない。また次のチャレンジへ向かっていく」
ざきさん「上手くいったら上手くいったらで、めちゃくちゃに喜ぶ。しかも周りを巻き込んで喜ぶ。牡羊座の喜びっぷりは凄いからな!巻き込まれるこっちが嬉しくなってくるわ」
なんて明るい存在なのだろう。
失敗することに・・・不安や恐怖はないのだろうか?
アヤさん「ないな」
とても切れ味鋭い言葉だった。
アヤさん「何も知らない、などとヒドいことを言っているが、正確には血肉にしているという表現になるな」
ざきさん「成功も失敗も、見たこと聞いたこと感じたこと、それら全てを自分の体に取り込むんよ。いつまでも頭に置いておくようなことはしない」
アヤさん「だから、牡羊座は体が勝手に動く、というような感じであろう」
ざきさん「未知のモノに対して不安に思うことがあっても、飛び込むことに抵抗はないはず」
・・・どうして、どうしてそんなに強くいられるのだろう。
アヤさん「それもまた、赤ん坊だからであろうよ」
赤ん坊だから、強くいられる?
アヤさん「そう、赤ん坊は泣くことしかできん。だが、その赤ん坊は自分の全身を使って、どこまでも鳴り響かせるように泣くのだ。それこそ楽器のようにな。今、自分がそこにいることを全力で知らせるのだ」
ざきさん「牡羊座のテーマは『自分の力を認めてもらう』こと。認めてもらえるならどこでもいい、それはつまり、どこにいたって認められる可能性があるということよ」
無限大の・・・可能性。
アヤさん「牡羊座の、生きていることへの肯定力というのは、俺たちも驚かせられるよ」
ざきさん「牡羊座がいるだけで、場が明るくなるからなぁホント」
牡羊座。
赤ん坊を象徴する星座。
単純かも知れない、だけど、だからこそ、どんなところでも全力で駆けぬけて行ける。
アヤさん「さ、牡羊座はここまでかねぇ」
ざきさん「なんだか不思議な事ばっかり喋ったなぁ」
アヤさん「この星座にはあーしろこーしろは、星詠み亭でやっておるからな。同じことをやっても面白くはない」
ざきさん「ちげぇねぇわな!」
そういうと二人はまたケタケタと笑い出した。
他は、他の星座はどんな人たちなのだろうか。
そして・・・
アヤさん「そうさな。アンタも12星座の内のどれかだろうよ」
ざきさん「牡羊座かもしれねぇし、別の星座かもしれねぇ!とりま、まずは全部聞いてみることさ!」
アヤさん「んじゃ、次は牡牛座だな。今回はどちらかというと俺が喋ったから、次はお前さんに喋らすわ」
ざきさん「牡牛座かー。何話そっかなぁ」
次は一体どんな星座なのか。
どんな魅力的な星座なのか、胸が高鳴って―――
アヤさん「あ、ちなみに牡羊座は物事を始めるのは得意だが、継続は困難だ」
ざきさん「そそ。向いてないよ!!」
アヤさん「詳しく聞きたかったら星詠み亭・エピカに来るんだの!」
・・・なんでこう、いつも煙にまくのか・・・
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