アヤさん「旨いカニをな、食ったことがないのだよなぁ」
ざきさん「おめぇ、それはあれよ。新鮮なものを食ったことがないからよ」
アヤさん「やっぱそうなるかぁ」
ざきさん「漁港近くの市場とか行ってみろよ。まじうめぇぞ」
アヤさん「昔、カニというものを初めて食ったときにな、あまりに無言な食卓なもので全然楽しくなくてな」
ざきさん「まぁ、確かに無言になるとはよく言うよな」
アヤさん「ってことで今回は蟹座です」
雑すぎる。
ざきさん「いつものことだからそのツッコミは野暮ってもんだぜ。しっかし、蟹ってアレだよな。創作作品の中で、いつも扱いがあれだよな」
アヤさん「不憫だな」
ざきさん「猿蟹合戦とか、テンプレなやられ役だしな」
アヤさん「星座の鎧を纏って小宇宙を感じる某作品の蟹なんてちょっと非道いからの」
ざきさん「あれ、蟹座の子いじめられなかったのかなぁ。そうじゃなくても自分の星座モチーフのキャラクターがあんなんって泣くだろ。俺なら泣く自信あんぞ…」
どういう扱いなんだろう。
アヤさん「まぁ、そんな不憫な扱いを受けがちな蟹座だが」
ざきさん「神話の中では全く違う………と言いたいところだが、こっちでも不憫なんだわ」
そんなところまで…?
アヤさん「昔な、ヘラクレスっていう脳まで筋肉のゴリマッチョ大英雄がいてな」
ざきさん「何だかんだで、十二の試煉ってものを受けることになったんだわ。化け物倒せーとかこれ持ってこーいとか。あれ?これってパシリじゃ」
蟹座はそれに関係してくるのだろうか。
アヤさん「で、ある試練でとある化け物を一狩りすることになる」
それが蟹という、
ざきさん「いんや、ヒドラってデカくて首がたくさんある蛇」
…はい?
アヤさん「で、そのヒドラって化け物とゴリマッチョ英雄が戦ってたんだが、ゴリマッチョが強すぎてヒドラの方がヤバくなるわけ」
ざきさん「ヘラクレスの筋力EXだもんな」
アヤさん「某ゲームの話を持ち出すな。んで、やられそうなヒドラのところにやってきたのがその親友の蟹」
ざきさん「マブダチの登場だァ!親友を助けるために、ヘラクレスの足を自慢のハサミでざっくざくに切ろうとして!!」
アヤさん「そのまま踏み潰された」
…
ざきさん「…」
アヤさん「…」
…え?
ざきさん「…めでたくはないが」
アヤさん「これでおしまい」
おしまい!?
ざきさん「もはや事故だよなこれ…まぁ、その心意気と結末を憐れんだ神様によってお星様にされたって終わり方はあるんだが、話の9割くらいは今ので終わり」
神話の中でも不憫な…
アヤさん「そんな扱いをされる蟹座だが、この話からもわかる通り」
ざきさん「とにかく仲間を大事にするのが特徴だな」
アヤさん「まず、基本的に蟹座は人見知りだ」
ざきさん「初対面で馴れ馴れしいのは嫌だろうなぁ」
アヤさん「目の前にいる人間を自分の甲羅の中に入れてもいいかダメなのか迷ってるのだろうな」
ざきさん「蟹座にとってその選別は大事だ。何故かっていうと、危険なやつを入れちゃうと内臓をぐっちゃぐちゃのカニ味噌状態にされちゃうからな」
う…ちょっと、例えが…
アヤさん「だが、彼らは本当にそう感じている。だからこそ、付き合う人間は徹底的に選ぶ。とすれば、その審査を通った人間にはどう接するのか」
ざきさん「何でもするな。徹底的に、とにかく、どこまでも。なんなら自己犠牲精神まであったりする」
アヤさん「ワシは蟹座のことを『おかん』と言ったりもするが、とにかく自分の大切な存在には世話を焼くわ、面倒を見るわ、相談に乗るわ」
ざきさん「蟹座の部屋は汚いけど、好きなヤツの部屋は掃除しまくるとかありえるんだよな」
アヤさん「ただ重要なのは、決して家庭的であるわけではない」
どういうことだろう?
ざきさん「蟹座が世話を焼くのは、あくまで大切だと思った存在にだけ。例え家族や恋人といった関係があろうと、大切に思えなくなった時点で」
アヤさん「ハサミでばっさり、以上終了」
お、恐ろしい…
ざきさん「じゃあそんな味方にすると頼もしく、敵にすると厄介な蟹座、彼らは心の奥底では何を望んでいるのか」
アヤさん「それは恐怖を取り除き、平穏に暮らしたいということだ」
牡牛座みたいだ
ざきさん「すこーし違うか。牡牛座も牡牛座で平穏に暮らしたい思いはあるが、彼らはあくまでマイペースにのんびりと、という形だ」
アヤさん「蟹座はとにかく『自身』を脅かす恐怖を取り除きたい」
ざきさん「その『自身』には彼らが大事だと思っている存在も含まれるんだわ。そしてそれが脅かされる場合も」
アヤさん「ハサミでばっさり」
なるほど、子供を守るお母さんだ
ざきさん「だろ?やっぱお母ちゃんは怒らせないに限るわ」
アヤさん「時に思うのだが、蟹座の甲羅の中には、愛情や慈しみが溜め込まれているのかもしれん」
ざきさん「確かにな。双子座は好奇心旺盛な子供を象徴するものだったが、蟹座はその先、まさしく思春期真っ盛りの子供だよ」
アヤさん「自分の世界、というものが形作られていく時期だな。自分の部屋に鍵をかけ始めたり、自分というものに興味が出始める」
ざきさん「それは今まで感じたことがない感情を確認し始めるここと同じだ。今まで見せても平気だったことが恥ずかしくなったり、子供っぽい『好き』という感情から『恋』という想いに変わり始めたり」
アヤさん「そして芽生えた大切な感情を甲羅の中に仕舞い込んでいく。それを荒らされるのは嫌だろう?」
蟹座は、甲羅の中にたくさんの宝石を詰め込んでいる、そういうことだろうか
アヤさん「うむ、中々に詩人さな。そしてその通りだ」
ざきさん「とっておきの宝石箱だな。そんな宝石箱の蓋である蟹座の甲羅を無理矢理に剥がすようなことを絶対しちゃいけない」
アヤさん「甲羅の外にいる者にとっては見たいかも知れんが、本人にとってはまだ見せたくないのだ」
ざきさん「ゆっくり、気長に、自分は味方だって伝えてあげるこったな」
アヤさん「そうすれば、蟹座はきっとその宝石を見せてくれる。そしてその甲羅の中へ招待してくれるだろうよ」
ざきさん「厳しい冬の大地も、気長に待てば春が来て大地に命が芽吹く。そんな感じか」
アヤさん「だな。本当に温かく迎えてくれるもんだ」
蟹座は、人見知りで怖がりだけど、大切な人との絆を強く求める人たち、ということだろうか
アヤさん「うむ、良いまとめだな。では蟹座はこれで終わろう」
ざきさん「んで最後どうするよ?いつも通り落とす?」
アヤさん「最初で十分落としたからの。これ以上落とすと、蟹座にめった切りにされる」
ざきさん「…そだな」
一応、相手の反応を気にしてないことはないんだ…
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