ざきさん「待たせたな!」
アヤさん「ほんとにな」
あ、おかえりなさい
ざきさん「いやぁ、危なく内臓を持ってかれるところだった」
変なもの食べるから...
アヤさん「さて、ざっきも帰ってきたし、ワシは喋り疲れたからちと休むぞ」
ざきさん「おう、コーヒーでも淹れるか?」
アヤさん「お前が淹れると泥のようなものが出てきそうだから自分で淹れるわい」
そういうとアヤさんはやれやれと言った風にどこかへ引っ込んでしまった
ざきさん「…あれ、どっから話せばいいんだ?」
あ、えっと、月が満ちていく課程を教えてもらったから、今度は満月からの欠けていく過程かな
ざきさん「あーなるほどなぁ。ってか、ちゃんとあいつ引き継ぎしろよなー、そんなんだから無闇に客を怖がらせるし、あと生え際m」
その時、弾丸のように飛んできた湯呑みがざきさんの頭に直撃して宙を舞った
ざきさん「…わりかしマジでいてぇ…」
ご、ご愁傷さまです
ざきさん「良いコントロールをお持ちで...あぁー、いててて。じゃあ、とりあえず話すか。まずは満月の話だな。恐らくアヤからここまでの話を聞いただろうが、満月は何を意味すると思う?」
えっと、達成とか完結?
ざきさん「あぁ、そういうことだな。ただし完結とは少し意味が違う。というのも、月は欠けては満ち、満ちては欠けていくサイクルを繰り返すからだ」
止まることはないってこと?
ざきさん「そそ。万物は流転するってな。さて、そんな満月だが具体的には新月で始めたことが芽を出す、結果が出始める頃だな」
じゃあ、楽しい時期だ!
ざきさん「そだな、良い芽を蒔いてれば」
…あ、もしかして
ざきさん「悪い種を蒔いてれば、もちろん悪い芽が出てくるな。問題が表面化する時期でもある」
蒔いたものしか刈り入れられないですよね…
ざきさん「まぁそりゃそうだな。だから、自分が蒔いたものが何なのか確かめられる、ある種ドキドキな時期でもある」
なるほど
ざきさん「ちなみに、満月の時期は何事も吸収しやすいぞ。知識はもちろん、食事や栄養もな」
う…気をつけよう
ざきさん「お、心当たりでもおありかな?次は十六夜月や寝待月と呼ばれる時期だな。この時期は満月で達成したものを更に伸ばしていく時期だ」
ボーナスステージみたいな感じかな?
ざきさん「そういうこったな。芽が出て、実が成り、次の種を蒔く、またはその準備をする頃だ」
どういう事をやるのがおすすめ?
ざきさん「そうだな。得られたものを、もっと広めていくって時期だな。自分だけのモノにせず皆と分かち合う。それでこそ大収穫ってもんよ」
なるほど。じゃあ、このあとに来るのが下弦の月?
ざきさん「お、知ってたか。下弦の月は整理の時間だな。今までやってきたことの振り返りだ」
もう拡大する時期ではない?
ざきさん「そういうこった。今まで頑張ったから少しは休もうぜってな。むしろ、後ろを振り返ることだって立派な前進だ。どっかのゲームじゃ、過去を振り返ることと未来を創ることは同じだとか言ってたしな」
おすすめの過ごし方とかは?
ざきさん「ゆったり、のんびり、まったり、だな」
あぁ、なんか落ち着きそうな時期だ
ざきさん「そして最後に二十三夜、または晦日(みそか)だな。つごもり、とも言うんだが、何故だか知ってるか?」
え、知らない
ざきさん「月がァ!隠(こも)るからァ!つごもりって言うんだよォ!(ドヤァ顔)」
なんか、むかつく
ざきさん「さて、この時期になったらジタバタ騒ぐもんじゃねぇ。ゆっくり自分と向き合う時期だ」
リラックスして過ごすみたいな?
ざきさん「まぁ、基本はそうだろうな。アヤなんかは瞑想してたりするな」
え、ますます胡散臭い
ざきさん「しかも、あいつ瞑想が深くなると勝手に身体が動き出すからな。ありゃ見物だぞ」
えぇ、ますます変人
アヤさん「聞こえとるぞド阿呆共」
ざきさん「知ってましたー」
…知りませんでした…
アヤさん「ったく。それでは、月の満ち欠けについては分かったのだな?」
ええ、とりあえずは
アヤさん「そうか。では、そろそろ次のステージに、仕上げにかかっても良かろう」
ざきさん「あー、もうそんな時間なんか」
二人は示し合わせたかのように、何か秘密があるかのように目を合わせた
アヤさん「結論からいうと、お前さんが自分の事を思い出すのもそろそろだということだ」
本当に!?
ざきさん「おう、本当だ。ただし、その為に、最後に聞かなくちゃいけねぇ話がある」
ど、どんな?なんの話を?
そこまで言って、はたと気がついた。
二人の目が、これまでとは打って変わって、底知れない冷たさを持ち始めた
アヤさん「おう、それはな…」
次回、EP24「占星術の罪」
0コメント