え、いま、なんて…
アヤさん「だから、占星術の罪について話そうかと言っている」
ざきさん「悲しいけど、これ現実なのよね...シクシク」
罪ってそんな…
アヤさん「では、ソフトに過ちとでも言っておこうか。占星術最大の過ちとは何か。はい、ざっき」
ざきさん「天動説の世界観だな」
て、天動説?
アヤさん「そう。昔々、人々は空を見上げた。そして思ったのだ。地球が全ての中心で、星々がその周りを廻ってると思った。まぁ自分から見ると自分中心に回ってるものだからな。そう思うのが自然であろう」
ざきさん「だが実際はどうだ?太陽系というモデルの中心に太陽があり、地球がその周りを廻ってる」
アヤさん「だが、占星術は地球から見た天体図を描くのだ。太陽星座はあれど、地球星座はない」
科学的ではない…ってこと?
ざきさん「その通りだな。『 科学的ではない』を通り越して最早ファンタジーの世界観だ」
アヤさん「そしてそのファンタジー世界観で現実の人となりを判断し、」
ざきさん「そのファンタジー世界観で現実問題を解こうとするわけだ。...言葉にするとやべぇ、マジ乙だわ」
アヤさん「はっはっは、まっこと馬鹿馬鹿しすぎて笑いしか出てこんわ」
ちょ、ちょっと待って!
二人は今まで、この星座はこんな人って解説をしてたのに、
それは間違いだったってこと!?
アヤさん「さぁ、知らんわ」
はぁ!!?
あまりのことで、目の前の風景が揺れ始める。
だって、二人があんなに楽しそうに話していた、星座たちの話が、嘘…?
ざきさん「そもそも、十二星座なんてのは、占星術が出来た頃の話なわけでな」
…え?
アヤさん「星の廻りは永久に一定とでも思っておったか。占星術が出来てから約2000年後、地球から見て太陽はへびつかい座を通過することが明らかにされている」
ざきさん「つまり、十二星座じゃなくて本当は十三星座ってことだ」
アヤさん「太陽の通り道、つまり黄道に存在する星座を太陽星座と呼ぶ。それは占星術が出来た頃には十二種類だけだったが、地球の地軸のズレやら何やらで十三になったのだよ」
ざきさん「歳差運動ってやつだな。だが、へびつかい座が定着することはなかった。何故か。それはへびつかい座を入れるとそれまでの十二星座の区分にすら著しい影響を与えるからだ」
アヤさん「今まで蠍座だと思っていたら天秤座になりました、みたいな感じだの」
ざきさん「あとぶっちゃけ、円を13等分とかマジ面倒くせぇ。ケーキを13等分するのを想像してみろ。どうやって切るんだ。」
そ、それでも、それが正しいのなら…
ざきさん「正しいから変えるか?それこそ無理だな。それが簡単に出来たら人間の世界にここまで苦しみはない」
アヤさん「うむ、その通り。それに、占いというのはな、実体がないのだよ」
実体…それが何か?
ざきさん「実体がない。つまり情報や概念だけってことだな」
アヤさん「情報や知識、概念の集合体。それが永く存在し続けるには何が必要だと思う?」
情報や概念の集合体、実体がなくていつでも消えてしまいそうな…あ
ざきさん「そう、信じる人が重要だ」
アヤさん「情報や概念は信じる人がいてこそ生き永らえる」
ざきさん「じゃあ、ここで、『今まで2000年間言ってたことは間違ってましたテヘペロ٩(๑><๑)』って言ったらどうなるよ」
疑いばかりが沸き起こって…
アヤさん「占星術は抹消される。抹消とまではいかなくても、確実に影響力は衰える」
じゃあ、じゃあ、星占いはっ…!
アヤさん「占星術は人のためになど存在していない。もはや、それ自身が生き残るために存在している」
ざきさん「占いが人を導くのではなく、人が占いに寄り添ってしまってる」
アヤさん「歪よの。人を自由にするどころか、鎖で絡めようとする」
ざきさん「…悲しいけどこれ現実なのよね」
…で、でも!二人は今まで星座の話をたくさんしてくれた!
こんな人だ!あんな人だ!困ったところもあるけれど、こんなに素敵な人だって!
アヤさん「…いいだろう、では次に語る内容は決まったな」
ざきさん「はぁ...お前さんってつくづくドSだよな。...だが避けられんテーマではあるな」
ため息をつくざきさんを横目に、アヤさんはその目を更に鋭くした
アヤさん「占い師がいかに人を騙すかという話だ」
これまで積み上がってきたものが音を立てて崩れていく
しかしそれも始まりに過ぎないのだろうか
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